ファーマ行政書士事務所ブログ(薬事19)

2025年5月21日に公布された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第37号)(以下、改正法)。今回は、「要指導医薬品」に関する改正事項をテーマに取り上げます。

要指導医薬品の販売ルールは、今回の改正で大きな転換点を迎えます。まずは要指導医薬品の導入経緯を振り返りつつ、改正のポイントを一つずつ確認していきましょう。

💊 要指導医薬品の導入経緯のおさらい

要指導医薬品は、平成25年(2013年)の薬事法改正(現・薬機法)に伴い新たに創設された医薬品の区分です。主に、医療用医薬品から一般用医薬品に転用(スイッチOTC)されて間もない医薬品や、毒薬・劇薬が該当します。これらは一般用医薬品としてのリスク評価が十分に定まっていないため、生活者の安全を最優先し、薬剤師が対面で情報提供と指導を行うことが義務付けられ、インターネット等での販売は制限されてきました。

🔄 改正ポイント①:オンラインによる情報提供・指導(対面等)の解禁

今回の改正の目玉は、要指導医薬品の適正使用のために薬剤師が行う情報提供・指導の方法が見直されたことです。従来は「対面」に限定されていましたが、新たに「映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法」が認められることになりました。法文上、これらの方法は「対面等」と定義され、厚生労働省令で詳細が定められます。これにより、事実上、要指導医薬品のオンラインでの服薬指導および販売が解禁されることになります。

🔄 改正ポイント②:「特定要指導医薬品」の創設と対面義務の維持

すべての要指導医薬品が無条件でオンライン販売の対象となるわけではありません。要指導医薬品の中でも、適正な使用のために薬剤師の「対面」による販売・授与が特に必要なものについては、厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて「特定要指導医薬品」として指定する制度が新たに設けられました。この特定要指導医薬品については、オンラインでの対応は認められず、引き続き薬局開設者や店舗販売業者に対して、薬剤師に「対面により」販売・授与させることが義務付けられます。

🔄 改正ポイント③:オンライン販売等を行う際の申請手続きと遵守事項

薬局開設者や店舗販売業者が、店舗以外の場所にいる購入者に対して要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く)を販売・授与しようとする場合、許可申請等の手続きに変更が生じます。具体的には、薬局開設や店舗販売業の許可申請時に、購入者との間の「通信手段等を記載した書類等」を添付して申請しなければならないこととされました。また、通信手段に応じた販売・授与の実施方法などに関して、薬局開設者等が遵守すべき事項が厚生労働省令で規定されることになります。

✨ まとめ

今回の薬機法改正により、要指導医薬品へのアクセシビリティが向上する一方で、「特定要指導医薬品」という新たな区分が設けられ、リスクに応じたよりきめ細やかな対応が現場に求められるようになります。要指導医薬品のオンライン販売を導入する際には、新たな許可申請の要件や省令で定められる遵守事項を確実に把握し、社内体制を整備しておく必要があります。

なお、本改正事項の施行は令和8年(2026年)5月1日です。

📌 ファーマ行政書士事務所では、薬事業界に特化した専門性を活かし、薬局や店舗販売業の皆様の各種許認可申請や、コンプライアンス体制の構築をサポートしております。法改正に伴う実務への影響や手続きに関するご相談がございましたら、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は、2026年5月21日に公布された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第37号)の内容及びそれによって予測される影響について記述しています。法解釈を含む内容については、個別の事案やその後の解釈等により異なる場合があります。正確な情報は必ずご自身でご確認いただくようお願いいたします。

投稿者プロフィール

粂 昌治
粂 昌治
1987年塩野義製薬株式会社に入社。2011年まで中央研究所にて、感染症領域および癌・疼痛領域の創薬研究に従事。その間、1992年には、新規β-ラクタム系抗菌薬の創製で博士(薬学)を取得。
1998年から1年間、米国スクリプス研究所に留学。帰国後、分子標的抗がん薬の探索プロジェクトやオピオイド副作用緩和薬の探索プロジェクトを牽引し、開発候補品を創製。2011年10月、シオノギテクノアドバンスリサーチ株式会社に異動となり、新規に創設された化学支援部門を担当し、軌道に乗せる。2013年には塩野義製薬株式会社医薬研究本部に戻り、外部委託管理、契約相談、化学物質管理などの研究支援業務を担当。2020年から3年間、創薬化学研究所のラボマネージャーとして、前記研究支援業務を含む各種ラボマネジメントを担当。2023年3月に定年退職。
2023年4月に、薬事・化学物質管理コンサルティングを行う行政書士として、ファーマ行政書士事務所を開業し、現在に至る。